別紙2

関係機関より提供を受けた地震波形データの流通及び利用に関するガイドラインについて

平成8年3月8日
平成8年3月14日修正
平成16年3月31日修正

 地震防災対策特別措置法によって、気象庁に大学等関係機関の地震波形データが集中するとともに、地震調査研究推進のため、大学、独立行政法人防災科学技術研究所、気象庁等関係機関の地震波形データについて、各大学及び独立行政法人防災科学技術研究所でもリアルタイムで共有できることになった。これによって独立行政法人防災科学技術研究所、気象庁及び大学は、自らの地震波形データのみならず他機関の地震波形データにアクセスする道が開かれたことになり、我が国の地震調査研究がより一層進展することが期待される。それと同時にデータ提供機関における本来の研究・業務等が妨げられることのないよう研究活動を行うに当たってのガイドラインを定める必要がある。

 本ガイドラインは、独立行政法人防災科学技術研究所、気象庁、及び各大学を包括した形で、他機関の地震波形データ(ここでは相互交換している地震波形データ及びそれに基づいて作成されたイベント波形データ)を研究活動に利用するに当たっての指針を定めたものである。ここでいう各大学とは地震観測を実施している国公立大学で自らのデータを関係機関に提供している大学のことである。なお、このガイドラインは主に営利目的のデータ利用を排除するために定めるものであり、実際の運用に当たっては、独立行政法人防災科学技術研究所、気象庁及び各大学は地震に関する調査研究の推進に資するよう努めなければならない。

(1)【データ、利用者の定義】本ガイドラインにおいてデータの流通及び利用の対象となるのは、独立行政法人防災科学技術研究所、気象庁及び各大学が所有する観測点の地震波形データで、相互交換している連続波形記録及びそれに基づいて作成されたイベント波形データとする。本ガイドラインは、上記機関に所属する利用者の場合には自らが所属する機関以外の地震波形データの利用を希望する際に、またそれ以外の利用者については対象となる地震波形データの利用を希望する場合に適用される。

(2)【受付窓口の設置】独立行政法人防災科学技術研究所、気象庁及び各大学は部外からのデータ利用の申し込みを受け付ける窓口を設置する(附記1参照)。また、必要に応じてデータ流通について協議する場を設ける。

(3)【利用申し込み】自らが所属する機関以外の機関が所有する地震波形データの利用を希望する者は,当該機関に次の事項を明記して利用申し込みを行う(附記1参照)。

氏名,所属,研究テーマ,

研究内容の説明,

利用希望のデータなど

(4)【利用申し込みを受けた機関の義務】利用申し込みを受けた機関において、他機関データを含めた地震波形データベースを作成している場合には,利用申し込みの内容を速やかに関係機関に通知し、申し込みを受けた機関は定められた期間内に回答するものとする(附記2参照)。

(5)【利用許可の条件】利用申し込みを受けた機関は,関係機関に照会した場合にはその回答をとりまとめた上, 利用申し込み者に対し,

  1. 無条件でデータ利用許可
  2. 利用にあたっての条件つきでデータ利用許可
  3. 理由を明確にした上でデータ利用不許可

を返答する。データの利用には次の条件がみたされること 

  1. 非営利目的の利用である
  2. データの利用が当該機関における研究・業務等の妨げとはならない
 【条件つきデータ利用許可の例】
  1. 同種の研究を計画している場合は共同研究として許可することもある。
  2. 地震発生直後の繁忙期の利用申し込みに対しては、許可の回答時期を延期することもある。
  3. 一部機関のデータのみ利用できる場合がある。

 【データ利用不許可】不許可の理由が客観的合理性を持たなければならない。

(6)【研究テーマの保護】利用許可されたものの氏名,研究テーマの公表は,半年間保留される。

(7)【データ出所の明示】他機関データを用いた研究についてその成果を公表する場合はデータの出所を明示する。

附記1:利用申し込みと関係機関への通知、利用者への回答は、電子メールの利用を原則とし、メーリングリストの運用を行う。運用にあたっては、関係機関が協議して運用規定を定める。
附記2:利用者への回答は2週間以内をめどに行うようにメーリングリスト運用規定に定める。